自己破産を検討する際、通勤や生活に必要な車を手放さなければならないのか、不安に感じる方は少なくありません。
実は、一定の条件を満たせば車を残せる可能性があります。
この記事では、自己破産における車の取扱いや、手元に残すための具体的な条件、資産価値の判断基準について解説します。
自己破産を申し立てると、原則として所有する財産は破産財団に組み入れられ、債権者への配当に充てられます。
しかし、破産法第34条では、生活に必要な一定の財産を自由財産として手元に残すことが認められています。
自由財産には、破産手続開始後に取得した新得財産、差押禁止財産として認められる99万円以下の現金、生活に欠かせない家財道具などが該当します。
自動車が処分対象になるかどうかは、ローンの有無と資産価値の2つの要素で判断されます。
自己破産で車を手元に残すためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
以下で具体的にみていきます。
車のローンが残っている場合、所有権はローン会社に留保されているケースがほとんどです。
これを所有権留保といい、ローンを完済するまで車の所有権はローン会社にあります。
自己破産を申し立てると、ローン会社は所有権に基づいて車を引き揚げる権利を持つため、ローンが残っている車を手元に残すことは原則としてできません。
そのため、車を残すための第一条件は、ローンを完済していることです。
ローンを完済している場合でも、車の資産価値が問題となります。
多くの地方裁判所では、評価額20万円以下の車であれば認められる運用が一般的なようです。
この基準は、同時廃止事件と管財事件のいずれの場合でも適用される可能性が高いです。
同時廃止事件とは、処分すべき財産がほとんどない場合などに選択される簡易な手続きで、管財事件とは破産管財人が選任されて財産を管理・処分などをする手続きです。
評価額20万円以下かつローン完済の車であれば、通勤や通院など生活に必要な場合、裁判所の判断で保持が認められやすい傾向にあります。
車の資産価値を判断する際、自己申告では認められません。
客観的な評価が必要となるため、中古車販売店や日本自動車査定協会による査定書の提出が一般的です。
通常は2点以上の査定書を求められます。
裁判所によっては、減価償却による擬制を採用する場合もあります。
初年度登録から普通車で6年、軽自動車で4年以上が経過している場合、資産価値を0円とみなす運用を行っている裁判所もあるようです。
ただし、高級車やスポーツカーなど市場価値が高い車種については、年数が経過していても例外的に価値があると判断される可能性があります。
査定書の取得には費用がかかりますが、車を残すためには必要な手続きといえます。
評価額が20万円を超える車であっても、直ちに処分されるわけではありません。
この場合、手続きは管財事件として扱われる可能性が高くなります。
破産法では、差押禁止財産として99万円以下の現金を手元に残すことができるほか、裁判所の判断により自由財産の拡張が認められる場合があります。
自由財産の拡張では、現金と他の財産を合わせて総額99万円程度までであれば認められる運用が一般的です。
車の評価額と現金、保険の解約返戻金などの合計が99万円以内であれば、裁判所の裁量で車の保持が認められる可能性があります。
管財事件では、破産管財人が債務者の生活状況を詳しく調査します。
通勤、通院、家族の介護など、車が生活に不可欠である事情を具体的に説明し、資料とともに提出することが重要です。
破産管財人は、債務者の生活再建に車が必要かどうかを考慮し、裁判所に意見を述べます。
今回は自己破産における車の取扱いについて解説しました。
車のローンを完済しており、評価額が20万円以下であれば、同時廃止事件でも管財事件でも手元に残せる可能性があります。
20万円を超える場合でも、管財事件として99万円の総額枠内で保持が認められるケースがあります。
資産価値の判断には、査定書などによる客観的な評価が必要となります。
自己破産の手続きは複雑で、車を残すための要件や手続きも裁判所によって運用が異なる場合があります。
状況を誤って判断すると、想定外に車を処分する結果となるおそれがあります。
そのため、早めに専門家へ相談し、早期対応によって選択肢を広げることが重要です。
平山司法書士事務所では、破産申立書の作成や手続きに関するアドバイスを通じて、依頼者の生活再建をサポートしています。
車の保持についてお悩みの方は、お気軽に相談ください。